描き初め

0contact描き初め

2016年1月9日に開催したドローイングイベント0contact。
数年前オブジェクトパフォーマー鳥羽あゆみが開催していたドローイングの可能性を広め追求していくイベントを、私、小林広恵が受け継いだ。
継承して初回の描き初めが始まるひと月前、鳥羽さんがドイツから一時帰国した。
彼女が旅立つ前には予想もしていなかったので、継承はメッセージでしていたけれども、再び会えて、イメージを共有し、また広恵さんのものとしてやっていっていいんだよ、と顔を合わせて話し合えた。
主催の私が一番舞台経験がない。そんな不安を路上へ連れ出してくれたり、助言をたくさん与えてくれた共演者たちへ感謝を込めて。
当日は本当に楽しく主観だけれどもいいイベントになった。

ソロ:ニシムラマホ

テーブルに置かれた、目覚まし時計と一本の白墨。黒い画面。
シンプルな極限まで絞られた画材と、絞られた時間。
静寂の中、しゃがんだマホさんの右腕がゆっくりと真上に伸びる。一本の線。
演じられた語る背中と腕と線が、描くことと身体と演じることとすべてが一本の線に集約されるようだった。
そして鳴り響く目覚まし時計。切られる線。
のちに聞くと、目覚まし時計は細かな時間設定ができず、何時鳴るか何時鳴るかの緊張感の中であったそうだ。観客も、もっと見たいのに!と思ったことだろう。
しかし、その区切られ緊張に満ちた時間こそがそこにその線を生み出したのだと思う。
時計が鳴ると素早くハシゴを登り、姿を消し降りてこなくなる。
潔い構成に唸った。
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デュオ:つらくも七瀬・いちろー

日曜画家として活動を始めてまだ1年、しかし舞台の経験も絵の表現も卓越しているつらくも。
舞台音楽を手がけ、昨年つらくもの個展ではつらくもの朗読にあわせた音楽も提供し今回ふたたびタッグをくんだいちろー。
大地と見立てられた床一面のクラフト紙に、置かれた植物たち。
地上の高架下という場所にひびく現実の電車の音に、いちろーがつくりだした地下鉄の視覚障害者向けの誘導音が響くと、世界が変わった。
つらくも七瀬は絵の具を纏いながら踊る人となった。初めは滑る絵の具に足を取られながら、しだいにそれさえも身体の己の中に取り込んでいき遊び御してしまう。
そうしてまでの力に見惚れた。
音楽とともに憂い気になり悲しささえ漂う舞に、また終わりが近づき地下鉄の音が響き幕は降りた。
そして、演出として真上から撮った映像が会場に流されていたのだが、これもまたつらくもの動きと足で描かれていく様が誠に面白いものとなった。
つらくも、いちろーの人気は高く、それぞれの今後やイベントが楽しみでならない。
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トリオ:小林広恵・近藤寛峰・ニシムラマホ

これを書いている私が出演しているので、客観的な表現は全くできないけれど、マホさんに絵を壊すということだけをお願いしていて、どんな音が来るのか、マホさんがどんな壊し方をしてくるのかはわからない、即興力に頼ったというかそれを楽しむという感じだった。そのことについては反省しきりである。
鳥のさえずりが聞こえてきて私は一瞬で描く世界が決まった。
床に置かれたパネルには美しい青い川を、そびえ立つ二枚のパネルにはお正月に行ってきたばかりの岐阜県山県市北山地区の木々を、両端の二枚には優しい空気を。
ところが、マホさんが来ない
路上で合わせた時に、こりゃ描くスピード上げないとマホさん壊せないぞと、相当なスピードで画面を埋めていたので、そろそろ来るかな?まだかな?と。
ようやく入ってきたマホさん、おとなしい、、。静かに指で絵の具をなぞっている。
そしてまさかの、焦れたつらくも七瀬の登場。
そしてさらに、それなら一人入らないのも、、といちろーも参戦。
結果すごく濃くて画面の中で語り進めていく世界に、身体の面白さが生かされていく世界が加わり、音と身体と身体の動きとしての色と、痕跡としての画面の情景がたちあがっていた。
無粋なことと承知しつつ、語るけれども、
マホさんは壊せなかった。なぜなら私が壊しながら描いていたから。
私はいつも絵がまとまってしまう。あるべきところへと集約させてしまう。とてもわかりやすく、バランスの良い絵にする。だけれどスピードを上げたために初めから壊れてまとまっていなかった。
これは役を見失う。
 そのことに気づかないまま私は進めてしまっていく。
何かを感じ取ったのかのような、つらくもはマホさんを踊らせてく。
そしてすばやくそれを受け止めて舞台は進んで行く。
あの舞台はトリオで見たかった世界だけれども、クインテッドで叶えてくれた。
本当に奇跡みたいな、美しく楽しい時間だった。
改めて感謝を申し述べる。ありがとうございました!

次回は6月26日日曜日に開催決定!

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